【吹奏楽】ブラック部活は人間性を歪ませる

 

金賞よりも大切なことがある



こんにちは、サオリです

今週のお題「わたし○○部でした」



私は中高と吹奏楽部で、中学の吹奏楽部は全国大会常連の強豪校だった。

そのおかげで大会の他にいろんな演奏会に招待され遠征が多く、いろんなところに行ったしたくさんの人たちと出会い、貴重な体験した。


春休みにはしょっちゅういろんな学校が見学に来てまさに全国大会を目指す学校の「お手本」。

しかしその「お手本」となる学校のふたを開けてみればかなりのブラック部活だった。


平日は朝練、昼練、放課後は18:30まで練習。

土日は朝8時から16時まで。

休みはお盆と正月だけ。


合奏で出来なかったらみんなの前で「ったく何でこんなこともできねーんだよ」と怒鳴られ公開処刑は当たり前。

どうやったらできるようになるかは教えない不条理さ。

出来ないのはすべて個人の責任かパートリーダーの責任。


理不尽極まりない活動の中でも部員が顧問を神のごとく崇拝していたのは全国出場という飴のせい。


周りの保護者や先生方は素晴らしい顧問にすばらしい部員たちと思っていたようだけれど、実際のところ部員の人間性は歪んでいた。


私は中3のとき同じパートかつ部長のA子にカバンの中身や楽器ケースを漁られ物が盗まれたり、後輩の前で恥をかくようなことを言われたりしていた。

盗まれたことが発覚してすぐに顧問に言うなり周りに訴えたりすればよかったんだけど、こういう事が起こると連帯責任で学年で集まってミーティング、そして活動停止になる。

そして顧問はヒステリックになり、部員もイライラする。


普通は加害者が悪いけど、みんなのイライラの矛先はどういうわけか被害者にも行く。(表には出さないけど)

とにかくミーティング、部活停止は普段の練習だけでもストレスいっぱいなのに、さらにストレスの負荷が強くなるからきっかけを作ったやつは被害者だろうがイライラの対象になる。


そんな空気が漂う部活。

 

気持ち的には起きた問題の事より「ミーティング?勘弁してよ」なのだ。


そこまで見えていたので言うに言えず、そのままコンクールシーズンに突入。

もちろんA子のいじめは続いた。


あっという間に全国大会が終了し、残ったイベントは演奏会だけというときに限界が来たのかA子に会ったり、思い出すだけで激しい動悸がするようになっていた。

 

「A子をこのまま強豪校の立派な部長として終わらせるのは許せない」とようやく周りに訴える決心がついた。

それで顧問の先生にも、副顧問の先生にも、担任の先生にも、同じ部の友達にも必死に訴えた。

A子は本当はこんなことをするようなやつなんだって。


そしたら「あとは演奏会だけなんだからいまの時期にそんなこと言うのやめて」という態度を取られてしまった。

担任の先生にも「あと少しで引退でしょ?様子見たら?」と言われ、同じ部活の一番仲の良かった子にも巻き込まれたくないという態度を取られてしまい、母さえそんな態度で味方が誰もいないことに絶望した。


想像してみて欲しい。

14歳の女の子が勇気を振り絞って周りにいじめられていることを訴えたのにも関わらず誰も心配してくれる人がいないのだ。

もう死んで後悔させてやろうかと思ったこともあった。



そして私は絶望したまま、動悸を我慢しながら演奏会を迎えて部活を引退した。

A子は周りから「強豪校の立派な部長」のイメージを崩さず引退した。


その後私はPTSDで10年間苦しんだ。


ふと思う。

もしブラック部活じゃなかったらあのとき味方してくれる人がいたんじゃないかって。

 

ブラック部活じゃなかったら私はいじめられてもPTSDになってなかったんじゃないかって。


部活っていったい何のためにあるのだろう。


私の所属していた部活の目標は意外にも「全国大会出場」ではない。

皮肉にも「活動を通して人間性を育む」だ。


笑える。


こんなにブラックなのに演奏会に来た人たちはそんなことも知らず結果だけを見て「すばらしい」と拍手する。


部活はどこまで行っても教育の一環でしかない。

全国大会出場は分かりやすい結果だけれど、その結果を得るまでの活動が健全ではなかったらそれは教育ではない。

大人はそこを見誤らないでほしいし、今吹奏楽部に所属している子がいたら結果が残せなくても精一杯やったらそれでよし。


10代の健やかな心身をブラック部活で蝕まないでほしい。