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ファッションとメンタルと4毒抜き

あのときのこと。東日本大震災【第6話】あたしは汚染された人間なんだ

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前回の続き。

 


神奈川での生活が慣れてきた頃、風呂上りにテレビを見てたら片方の足の脛全体が真っ黄色になっていることに気が付いてびっくりした。

たぶん震災のとき、がれきで打撲したんだろう。

アドレナリンが出まくって、その後も自分の事に気を使っている余裕なんてなかったってことなんだと思う。


神奈川の親戚の家では約1ヵ月お世話になった。

母の仕事がひと段落して、やっと母が戻ってきたあたりでこれ以上ご厄介になるわけにはいかないと神奈川で家を借りて、

しばらくした後に両親の仕事や妹の学校のこともあり福島市に住むことになった。


福島市に住み始めてから本当に日常が始まったって感じがした。

両親の職場は津波の被害は受けていないし、原発からも離れているため働き始めた。

妹も、前に通っていた高校で一番仲良くしていた子が福島市の高校に行くっていうんで、同じところに転入した。


私もバイトしたいなーって思ってたから面接にいったらその場で採用してもらった。

めでたしめでたし!!

といいたいところなんだけど、実際のところは違いましてね。


バイト先のカフェではみんなよくしてくれて、高校中退してからはコンビニでバイトしていてもずっと自分の居場所がないって思っていたから、いるべき場所ができたって感じて嬉しかった。

でもお店に県外から来たと思われるサラリーマンから「ここのコーヒー本当に飲んで大丈夫なの?」と言われた事がある。

不安なら飲まなきゃいいじゃん。

自分で全部飲み物食べ物用意して来いよって。

福島に住んでる私らはどうなんだよって思った。


そのカフェで働いてる間3人くらいに言われた事ありましてね。「安全なの?」って。

あるひとははっきり「放射能とか大丈夫なの?」ってはっきり言ってきた。

言われるたびに自分が汚染されてるって言われてるみたいでどうにかなりそうだった。


しかも2chを見てしまった。

私がバイトしてたカフェの悪口が書かれたスレを見てしまって。

原子炉でコーヒーを温めてるんじゃないかって書かれてた。


その日の夜泣いた。

親にばれないように、布団かぶって。

客に「安全なの?」って言われた日も。

こんなことが起きなければこんなに傷つくことはなかったのに

どうにかなりそうだった

あたしは汚染された人間なんだ

被ばくした人間なんだ


将来結婚できないんだ

結婚できても奇形児生むとか言われるんだ

白血病になるんだ


被災して県内に避難した子が学校で原発の事でいじめられるニュースをみた

県内でも差別される対象なんだって思った


上京したいと思ってたけど福島出身ってばれたらきっとばい菌みたいなあつかいされるって本気で思った


家では、震災の時は私が死んだと思って泣いた母も態度が冷たい。

しょうがない。

家事は基本的に母が全部やってたし、通勤時間も90分に増えたし、仕事も管理職だったし、お金のかかることばかりだし、妹の高校の編入の手続きに受験のこと、震災関連の事務手続き、今後の事…

父はなにも手伝っていなかったからすべて母に集中してたし、

私はフリーターだったからもう構わなくていい。


でもその冷たい態度が震災前にも感じてた「自分は出来損ないで、母にとってどうでもいい存在、なんなら消えていなくなればいいと思ってるに違いない」って気持ちがぶわっと湧き出てきたんだよな。


引っ越すときに家具をそろえるために家具屋に行った時、これが欲しいと言ったら「自分で買え」と言われてしまい

まあフリーターだし、当然と言えば当然だけど、でもあまりにも妹との扱いが違くてそのとき妹は投資対象で、でもあたしはまだ家に寄生してる迷惑なやつなんだなって思った。


震災があってしばらくは環境が目まぐるしく変わって、それまでの自分のことを忘れていたけど、ああ、あたし震災の前って病んでたんだよなって思い出した。


続く。

 

 

【1話から↓】